完全攻略!ベートーベン
ベートーベン指揮
 
 

ベートーベンという人物

モーツァルトベートーベンは、モーツァルトの後を受け継ぐことが出来る天才でした。しかし、「天才と何とかは紙一重」と言うように、ベートーベンもモーツァルトもどちらかと言えば社会不適合者に入る類の人物であったようです。
では、ベートーベンはいったいどのような歩みを経て、天才としての側面を著すようになっていったのでしょうか。

ベートーベンの人物像

人間の性格というものは、生来の気質だけで決定されるものではなく後天的な体験によって形成されていくものです。ベートーベンはいったいどのような体験の結果に現在に語り継がれる性格を形成し、作曲家としての頭角を示したのか気になります。


音楽一家に生まれたベートーベン

ピアノを弾くベートーベンは、宮廷歌手として成功を収めた同名の祖父ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベンの代からの音楽家の家系に生まれました。しかし、父のヨハンは祖父の名声や稼ぎに寄りかかって生きているような典型的ダメ親父だったようです。祖父が没し、収入が減少するとヨハンはベートーベンを少年音楽家として売り出し始めます。ヨハンは、息子をモーツァルトのような天才音楽家にしてその稼ぎで自分を養ってもらうことを目論んでいたのです。「息子を働かせなければ負けだと思っている」ニートな父ヨハンのスパルタ教育とプロデュースの日々の中で、ベートーベンの心の支えとなっていたのが母マリアでした。

最愛の母との別離

楽譜音楽家の家系に生まれ、幼い頃から音楽の喜びや楽しみを知っていたベートーベンであっても、父ヨハンから強要される「家族を扶養できるだけの音楽家」としての大成は、重圧以外の何物でしかなかったのは確かでしょう。そんなベートーベンをやさしく受け入れ、まっすぐに育ててくれたのが母マリアだったのです。母マリアの存在はベートーベンにとって幸いであったといえます。自己実現のために子供の教育に熱心な親は、父親・母親がそろって子供の教育に熱中することがほとんどだからです。しかし、そんな心優しい母であったマリアも、ベートーベンが16歳の時にこの世を去ってしまいます。

難聴の発症

ベートーベンが30代に差し掛かるころ、思いもよらなかった事態が襲い掛かってきます。難聴になってしまったのです。音楽家にとっての生命線である聴覚を失ったことで、ベートーベンは絶望の淵に立たされます。そのため、一時は自ら命を絶つことも考えていたようですが、作曲に専念することを決意しています。この決意は、遺書と言う形をとって書き残されています。これ以後のベートーベンは、次々に楽曲を発表していくことになるのです。

ベートーベンを形成したものは何か

ベートーベンの人格は、主に父ヨハンと母マリアによって形成されたものであると言ってよいでしょう。働いたら負けだと思っているヨハンは息子の才能に目をつけて、モーツァルトのように宮廷や貴族にベートーベンを引き合わせてパトロンになってもらおうとしていました。そのために必要な才能をスパルタ式で教え込んでいます。一方、母マリアはベートーベンが大成しなくてもいいから自分の行きたい道を進むことを選ばせるための愛情あふれた教育を行ってきました。この相反する教育姿勢がベートーベンの人格に多大な影響を与えていったのです。

「息子は父に似る」の原理

俗に、「息子は父親に似てくる」と言われます。顔立ちなどの身体的特徴が母親似であっても、行動や性格は父親に似てくるものです。男性は「父性」、女性は「母性」を自分の親から学ぶものです。「虐待を受けた子供は親になると子供を虐待する」というのは、親から学んだ父性・母性が虐待を含むものだったからなのです。ベートーベンの父ヨハンは典型的な放蕩者で、わずかな稼ぎも呑んでしまうため家計は困窮していました。ベートーベンが「このような父のために、母は夭折してしまった」「家族を不幸にしないためにも結婚をするべきではない」という考えを抱いていても不思議ではありません。しかし、ベートーベン自身も晩年には後継者と見込んだ甥のカールにスパルタ式の音楽教育を施し、カールの養育権で親族と争っています。「子供の才能を磨きたい」と言うのは音楽家共通のエゴであると言えますが、ベートーベンは知らず知らずのうちに父親に似てきていたのです。

「野獣」と言われた癇癪(かんしゃく)もち

ベートーベンは、「野獣」と呼ばれるほどの強い癇癪を持っていたと言われています。集まりでピアノの演奏を求められても頑として弾こうとはしなかったり、若手音楽家が演奏を間違うと烈火のごとく怒り怒号を飛ばしたりしたというエピソードがあります。ベートーベンは、音楽で身を立てることを常に求められてきたので音楽を仲間うちの会合で披露することや、真面目に音楽に取り組まないことに対して不快感を示すほどに非常に神経質であったのです。


 
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