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交響曲第五番「運命」

ベートーベンの交響曲の中でも、高い知名度を誇っているのが「第九」と「運命」であるといえます。第七番は、近年になって知名度が増してきた部類の楽曲ですが、「運命」と「第九」は長年にわたって様々な場所で演奏されてきた、ベートーベンの代表曲であるといえます。


交響曲第五番「運命」

交響曲第五番は、俗に「運命交響曲」とも呼ばれています。そもそも「運命」という題名はベートーベンがつけたわけではなく、弟子兼秘書のシンドラーからの「先生、この出だしのダダダダーンっていう音は何を表しているのですか?」という質問に対し、ベートーベンが「それは運命がドアを叩く音だ」と答えたことから「運命」という標題で呼ばれるようになったと言われています。

交響曲第五番制作の背景

運命のドア交響曲第五番は、1804年に交響曲第三番「エロイカ」が完成した直後から制作に入っています。しかし、主題である「運命がドアを叩く音」の部分に関しては1798年に既に着想を得ており、交響曲第五番以前にも何度か使用していることがわかっています。1798年という時期は、ベートーベンが難聴を自覚し始めた時期であり、「運命」にベートーベンがとらわれ始めた時期であるともいえます。「運命がドアを叩く音」は、ベートーベンにとっては「音楽家生命の終わりが近づく音」であったのです。この不吉な予感を振り払うべく、ベートーベンは、「運命がドアを叩く音」を自身の楽曲に組み込んで運命に抗う意思を示していたのではないでしょうか。

ベートーベンの交響曲に見られる思想

ベートーベンは「第九」制作までは、交響曲を二曲一セットという形で作曲・発表するスタイルをとっていました。つまり、交響曲第五番「運命」は、同時に制作されていた交響曲第六番とセットになるのが正しい形であるといえます。この交響曲第六番は、「田園」というベートーベン自身がつけた標題を持つ数少ない楽曲として知られています。「田園」はその名の通り、郷愁を思い起こさせる曲調を持つ楽曲です。ベートーベンは一曲だけでは表現しきれないテーマを完全に表現するために二曲一セットでの交響曲制作を行っていたのです。

交響曲第五番の秘密

ベートーベンが「運命はこのようにドアを叩く」といった、冒頭の「ダダダダーン」の四音は後の歴史で大きな意味を持つことになります。1840年代にモールス信号が発明され、世界的に普及していきますが、「ダダダダーン」の四音をモールス信号に置き換えれば「・・・−」で「V」の字を表すのです。「V」はローマ数字では「5」を表すので、交響曲第五番にぴったりであり、勝利(Victory)のVに通じるとされ第二次世界大戦下では、まったく別の意味合いを持っていたのです。しかし、「運命」は本来『交響曲第五番』ではなく『交響曲第六番』であったが、モールス信号との符号から第五番になったという説も存在しています。

交響曲第五番「運命」の曲調

有名な「運命がドアを叩く音」で始まる第一楽章は、強弱と緩急がはっきりと出たメロディを持っています。この楽曲は運命そのものを表しているのではなく、「運命の荒波に翻弄される人間」を表現しているというのが現在の定説です。静と動が対比されたメロディは、心の移り変わりそのものをも表現しているのです。

「運命」の聴きどころはどこか

運命到来一般的に『交響曲第五番「運命」』といえば、第一楽章がその本質であるように考えられています。しかし、実際の交響曲第五番は40分前後の長さを持つ一大交響曲です。10分に満たない長さの第一楽章が交響曲第五番の全てであるように考えるのはそもそも誤りであるといえます。第一楽章が「抗うことの出来ない運命の到来」を表していると考えるなら、「その運命にどう相対していくのか」が描写される第二楽章以降に注目しなければならないのです。

交響曲第五番「運命」の第二楽章・第三楽章

第二楽章では、「Andante con moto」(気楽に、ゆっくりと)と演奏記号で指示されているように、第一楽章のメリハリの利いた展開から一転した緩やかな流れへと変化します。それは、運命の困難に直面した人が思考の糸を紡ぎ上げるように冷静に、かつ確実に一歩ずつ積み重ねていくような次なる発展への準備を思わせます。第三楽章ではチェロ・ホルン・コントラバスの三楽器が、「運命がドアを叩く音」を組み込みながら一つのメロディを折り重ねていきます。「運命」とは、常に悲運や別ればかりではなく出会いや幸運もあることを示すかのように最終楽章となる第四楽章に向かっていきます。

交響曲第五番「運命」の第四楽章

第四楽章では、この当時の交響曲としては珍しいピッコロなどの管楽器が加わって、メロディをよりいっそう盛り上げていきます。この第四楽章は「運命」の困難を乗り越えた先の喜びを表現した、まさしくクライマックスとなるのです。有名な第一楽章が「運命の来訪への怯え」ならば、第四楽章は「運命に打ち勝った人を讃えよ」という意味であるのです。すなわち、交響曲第五番は、第四楽章がもたらすカタルシスを味わって初めて成り立つのです。


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